九州オルレ 八女コース 八女茶を育む豊かな土壌には、驚きがいっぱい詰まっています
広大なる茶畑、ルート上に点在する古墳群。八女コースをたどる上で欠かせない二大スポットです。
最初に見所を紹介しても、期待外れになることはありません。起伏は比較的少ないのですが、最後まで驚きと不思議を感じられ、感情は揺さぶられて起伏ができるはず。歩きやすく、初めてでも参加しやすくなっています。さあ、魅力的な歩き旅を始めましょう!
コース情報
【行動時間】 約4時間
【高低差】 120m
【距離】 11㎞
【難易度】 初級
スタート直後に入ることのできる古墳
スタート地点である山の井公園を出て、すぐにうれしいメッセージが見つかりました。コンビニ(ミニストップ)の壁にオルレ歓迎のメッセージ「ようこそ 九州オルレ 八女コースへ!」と書かれています。地域に受け入れられているようで、気持ちよく歩けます。
ここで飲み物や食べ物を買い足せます。
動き始めてまもなく、上り坂に入ります。準備運動がてらゆっくり登りましょう。あれ、体が温まる前に、もう古墳が見えてきました。童男山古墳です。奥には石塔がそびえています。
急展開にびっくりですが、近づくとさらに驚きが。直径48mの大きな円墳は、入り口に巨石が使われています。身長を超える大きさです。古代の人たちは、いったいどうやって運んできたのでしょうか。不思議です。
ほかにもサプライズがありました。なんと、この遺跡は内部も自由に見学できます。
玄関に当たる開口部は、ドアもなく開けっ広げ。ご自由にお入りくださいと言わんばかりです。
立派な門構えに圧倒されながら…せっかくなのでお邪魔しましょう。
童男山古墳の内部も大きな石で積まれていることが分かります。
6世紀後半につくられたとされる古墳ですが、内部は思った以上に、キレイに整備されていました。1400年以上の時を経て、こうして直に見ることができるというのは、それだけで感動を覚えます。
飲むのは息?圧倒的な大茶園の景観
古墳を離れて、1kmも進まないうちに、木立の向こうに茶畑が見えてきました。けっこう広いようですが、ハイライトになるはずの中央大茶園にしては早すぎます。地図を見ても、まだまだ先でした。この大きさでも「大茶園」ではないとすると、どれほどの大きさになるのでしょう。楽しみが膨らみます。
朝日を浴びて、茶葉がきらめいていました。
-
犬尾城址までは登り基調の道が続きます。未舗装の区間もあります。
-
犬尾城址の周辺が一番標高の高い場所でした。
城址から市街地を眺めることができます。
最高点である犬尾城址までは登り基調。そこから細かいアップダウンが続きます。行動開始から1時間半足らずで、一番の見せ場がやってきました。いよいよ八女中央大茶園です。
茶畑の中に吸い込まれていくように道が伸びています。
丘陵地の斜面は見渡す限り、緑色が続いています。整然と並んだ茶の木が、大地に模様を描きます。圧倒的な量の茶葉に囲まれ、お茶の香りがしてきそうな気さえしてきました。この息を呑む景色から、普段飲んでいるお茶が生み出されています。
立ち止まってはカメラのシャッターを切るせいで、なかなか先に進めませんでした。大茶園は予定よりも時間を多めに取っておいた方がいいスポットです。素通りするには争いがたい魅力があります。
茶畑を横切りながら気になっていたのが、あちこちに立っている柱。風車のようなものが先端についていて、くるくると回っています。
なんの役割なのでしょう。気になって調べると、霜よけのために設置されているとのこと。温かい空気を地表に送風することで、霜害が起きないようにする役目を担っています。
街中も飽きないメリハリルート
大茶園を下ってからは、住宅地が続きます。宅地と畑の間を縫うように歩くのは、「通りから家に通じる狭い路地」を意味するオルレにぴったりです。街中と自然の中を出たり入ったり。ずっと住宅街を歩くわけではなく、メリハリがあって飽きません。
家々の立ち並ぶ通りから少しそれただけで、きれいな林道に出合えます。
順調に進み、コースも後半戦に入ったところで、寄り道スポットを発見。ちょっとルートから外れて、休憩です。フランス菓子「オ・シャンティ」では、スイーツを2つお買い上げ。後半も元気に歩くためだから、食べすぎになることはないはずです。たぶん。
-
少しだけコースから外れて甘いひとときを堪能します。
-
素材にこだわったチョコケーキ、シュークリーム。どちらもおいしゅうございました。
-
道中にある「八女茶カフェぶんぶく」で、おいしい八女茶を飲んで疲れを癒やすこともできる。
休憩を終えて、再び住宅街を通過。舗装路で気が緩んでいると、目印を見失うことも。そんな時は最後に目標を見た地点まで素直に引き返します。
道を間違えてしまった言い訳になりますが、山の中の方が意外と道迷いは少ないです。人工物が少ないので、目標のリボンが目に入りやすいですし、ルートが限定されています。そして、遭難しないようにと注意していると、それほど迷うことはありません。
終盤は古墳ラッシュ、ゴール後にも余韻
終盤に差し掛かると、古墳が連続するようになります。住宅地にもかかわらず、数百m歩くたびに、次なる古墳へと誘われるのです。この区間に限っては、公園やマンションよりも古墳の方が多い「古墳銀座」なのでは?と思うほどでした。
丸山塚古墳からは八女の市街地を展望できます。
ひっそりとした公園のような雰囲気の乗場古墳。
古墳の間に、立ち寄ったのが隈本コマ。九州各地のコマが並んでいます。九州の木を使っていて、小さな子どもたちでも遊べるように、小ぶりな作りにするなど工夫されています。
-
隈本コマの壁にもオルレを歓迎するボードが飾られています。
-
八女和ごま。特徴は中央にある尖った「ヘソ」。
ゴール間近になり、コースに沿って森の際を歩くも、最後の岩戸山古墳が見当たりません。
岩戸山古墳は、もう少し先かなあと首を傾げつつ歩いていました。
そう思っていたら、こんもりと木々の茂った森の中に、探していた北部九州で最大の前方後円墳がありました。まさか目の前にあるとは思いもよりませんでした。
古墳の北側に回り込んだところで、ゴールが見えてきました。
交流館の横がゴール地点です。
コースはここで終わりですが、隣にある岩戸山歴史文化交流館「いわいの郷」が気になり、ふらりと入ってみました。
館内で展示されていたのは、古墳から発見された文化財の数々です。大小さまざまなものが並び、「あ、これはあの古墳から」「石人、すごいなあ」と思わずつぶやくほどでした。自分が歩いて見てきた場所からの出土だからか、なんだか親近感が湧きます。
歩き終えてからも、たどってきた道を思い出しながら、新しい発見ができました。1度で2度楽しめる。それが驚きの詰まった八女コースなのでした。
-
館内は文化財だらけ。大きな石を削って作られた石人は素朴に見えますが、細部へのこだわりが感じられました。
-
立ち寄っただけなのに「あ、乗場古墳からの出土だ!」とうれしくなりました。
これから(春)の見どころ
コース全体を通して春には至る所で桜を楽しむことが出来ます。特に、丸山塚古墳(6世紀後半築造の円墳、装飾古墳)は、3月下旬から4月上旬には古墳を囲むように桜が咲き誇ります。丘陵上にあり眺望もよいのでオススメです。
スポット情報
■童男山古墳
コーススタート付近にある6世紀後半の円墳です。古墳はいつでもご見学でき石室に入ることができます。岩戸山歴史文化交流館にて文化財を展示しています。
■八女中央大茶園
標高約150mの頂上から眼下に広がる約65ヘクタールの茶畑や八女市街地、山並みが望めます。晴れた日には有明海や遠くは島原半島まで一望できます。
■岩戸山古墳
6世紀前半の北部九州最大の前方後円墳です。527年、大和王権と戦った筑紫君磐井の墳墓といわれ、美しく整備された古墳をぐるっと回ってオルレコースはフィニッシュを迎えます。隣接した岩戸山歴史文化交流館には石人石馬をはじめ多くの出土品が展示されています。
立ち寄りスポット情報
■江崎食品
住所:福岡県八女市豊福792(Google Map)
電話番号:0943-22-2965
昔懐かしいラムネを飲めば疲れも吹き飛びます。ポン菓子もおやつにピッタリ。ゆずドレッシングやごまドレッシングもお土産にオススメです。
■八女茶カフェぶんぶく(美緑園製茶内に併設)
住所:福岡県八女市大字豊福269-2(Google Map)
電話番号:0943-24-2000
https://www.yamemiryokuen.com/
八女名産のお茶を使った茶そばセットやお茶甘味のセットがあります。ちょうどコース中間点にありランチに最適です。 美緑園製茶ではお茶はもちろん、茶菓子なども販売しています。
■八女観光物産館「ときめき」
住所:福岡県八女市本町2-129(Google Map)
https://yamedentoukougeikan.jimdo.com
八女茶をはじめ市内各地域の加工品、特産品が並び八女のお土産買うならココ。 敷地内には観光案内所や八女伝統工芸館があり、近くには八女福島の白壁の町並みもあるので歩いた後の観光にはピッタリです。
スタートまでのアクセス
■車
広川ICで高速道路から下り、20分ほどで山の井公園に到着。駐車場あり。
■バス
羽犬塚-約20分-福島-約15分-上山内-徒歩 約1分-山の井公園(JR羽犬塚駅までは電車)
■ゴールからスタート地点へ
西鉄バス・福島高校前-約5分-福島-徒歩約1分-堀川バス・福島-約15分-上山内-徒歩 約1分-山の井公園
注意するポイント
■ルートの注意点
・体力のある方なら、3時間もあれば歩けるコースですが、足を止めてじっくり見学したり、写真撮影をしたりで思った以上に時間がかかります。
・中央大茶園では、撮影に夢中になりすぎて茶畑を踏み荒らさないようにご注意を。
・犬尾城跡の周辺は、未舗装の道でアップダウンも多くなります。登山に慣れていない人は無理せずゆっくり歩きましょう。
■行動時間:約4時間
■高低差:120m
前半は山間を抜ける緩やかな勾配がある。後半は高低差はあまりなく、町並みや古墳群を歩く。
■距離:11㎞
■難易度:初級
■エスケープ
・車道のあるところから随時
服装・装備
・長時間歩ける履き慣れたシューズ
・リュック。お茶やお土産を入れられるスペースを確保しましょう
・動きやすい服装、登山用でなくともスポーツウェアでOK
・簡易的なレインウェア、傘やカッパ
・八女コースの地図
・飲み物。夏場は多めに持って行きます。途中で補給も可能。
歩くのがもっと楽しくなる装備
・おやつや軽食。店が開いていなかったり、疲れた時用に。
・水筒とお湯。先に八女茶を買っておけば、休憩時に飲めます。
・「磐井の乱」をはじめ八女の歴史や古墳に関する知識。より深く感動できます。
オルレのマナー
1.民家の庭にみだりに入らない。
2.人や個人のものを撮影するときは同意をもらう。
3.ゴミは必ず持ち帰る。
4.道沿いの農作物を勝手に採らない。
5.道端に咲いている花や木の枝を採らない。
6.民家付近等で大声で叫んだり、騒いだりしない。
7.次に訪れる人のために、リボンを持ち帰らない。
8.道案内の看板にはさわらない。
9.未舗装の道は、決まった経路を通る。
10.風景を楽しみながらゆっくりと歩く。
11.車道を歩くときは、車に気をつけて歩く。
12.コースから外れた急傾斜地等での危険な行動は控える。
13.途中出会う旅行者や地元住民の方々と笑顔 で挨拶を交わす。
八女コースお問合せ
八女市観光振興課
電話番号:0943-23-1192
九州オルレ八女コースについて
テキスト・写真:若岡 拓也(IN THE FIELD)
ディレクション:村上 智一(IN THE FIELD)
公開日:2022年3月10日
最終更新日:2023年1月25日