九州オルレ 福岡・新宮コース 新宮町をタイムスリップ!山と海を繋ぐ道-1

九州オルレ 福岡・新宮コース 新宮町をタイムスリップ!山と海を繋ぐ道

福岡市から最も近い「九州オルレ 福岡・新宮コース 」。新宮町は、住宅開発が進み賑やかでありながら山と海が近く自然が豊かな町です。山から海を繋ぐルートには歴史を感じさせる通りや、近代的な町があり、まるでタイムスリップするかのよう。海と山が近いから味わえる風景や食など、歩く人を飽きさせないコースです。


コース情報


【行動時間】約5時間
【高低差】 100m(前半は山間を抜ける緩やかな勾配がある。後半は高低差はあまりなく、町並みを抜け最後は海岸線を歩く)
【距離】  11.9㎞
【難易度】 初級~中級


みかんの道

コミュニティバス山らいず(さんらいず)線の終点、佐屋バス停からスタートです。バスを降りると全ルートを記した看板があります。オルレの道標であるリボンや矢印、カンセを見つけながら歩きましょう。いざ出発!

スタート地点までは、新宮町コミュニティバス「山らいず線 佐屋行」を使います。西鉄新宮駅前より乗車時間は約40分。西鉄天神高速バスから直方行高速バスに乗り高速立花山バス停で降車するルートもあります。


佐屋バス停にある看板をチェックしてスタート!
佐屋バス停からスタートの場合は青い矢印の方向へ。逆回り(西鉄新宮駅スタート)は赤の矢印を辿ります。
 


佐屋バス停から九州自動車道を横に、砂利道を歩いていくと、いよいよ未舗装の道、杉並木の林道に入っていきます。手に届きそうなところにある青と赤のリボンを発見。
コース内の要所には、「カンセ」と呼ばれる済州島の馬をモチーフにしたオブジェや青と赤のリボン、木製の赤と青でペイントされた矢印などの目印が必ずあるので安心です。
リボンやカンセを探すのもオルレの楽しみの一つ。つい触りたくなる可愛さです。


自然いっぱいの道端には小さな発見がたくさん。梅の花が咲きはじめていたり、鳥の声が聞こえます。双眼鏡を持って来ればよかったと後悔しました。あれ?よく見るとぽつりぽつりと、緑の中に黄色い色が見え隠れ。林を抜けると、一面のみかん畑が広がっていました。立花口地区は江戸時代からみかん栽培が盛んだそう。味の良さから、かつては「献上蜜柑」として皇室に献上されたとか。

杉の木立を歩いていると、こもれびが差し込んできました。


  • 咲きはじめの梅の花に出会う度に足が止まります。

  • 道中には動物たちのオルレもありました。
    どこに続いているのかな?


竹がさわさわと天高く揺れる竹林を抜けて


たわわに実るみかんを見ながら歩いていると、当然食べたくなってきます。それを見抜いたかのように現れる看板。
「買って食べたらおいしんじゃ、勝手食べたらはんざいじゃ」

もちろん、買ってたべたいんじゃ〜。そんな食べたい気分が最高潮な場所にありました。


オルレの道から少し外れた場所にあるみかん直売店の「じい&ばあ」。立ち寄ってみると、店先には裏の畑から収穫したばかりのいろんな品種のみかんが置かれています。どれを買おうか迷っていると「どれも美味しいよ」とやさしそうなお母さんが出てきてくれました。

平日だというのに、みかんを求めひっきりなしにお客さんが訪れます。かつて、天神の有名百貨店で売り子として磨いた接客術が、嫁ぎ先のみかん農家で役に立つのだそう。ご好意で味見させてもらうと、甘酸っぱい果汁が口いっぱいに溢れました。「みかんはたくさん種類があるとよ〜」味見しながらお母さんと話をしていると、ついたくさん買ってします。みかん好きはシーズンである10月から3月に時期をずらして何回か歩くと色んなみかんが味わえるかも。

ご主人がみかんを作って、末子さんが売っているそうです。
営業時間は9時〜17時 定休日は火曜日


立花城下で寄り道

みかんの道を後にすると、築100年を越える古民家のある城下町に入ります。かつて立花山には立花氏の城があり、戦国時代の山城としては九州随一の規模だったそう。


立ち並ぶ家には、母家とは別に長屋門があり、みかんの繁忙期には倉庫として使われたとか。

立花山梅岳寺本堂の左手、奥まですすむと…立花城主の立花道雪とその母養考院のお墓がありました。


九州オルレ 福岡・新宮コースの新たな立ち寄りスポットとして、令和3年10月1日に約120年前の1900年(明治33年)に建てられた古民家をリノベーションして作った観光交流拠点「こみんかみかん」がオープンしました。
趣のあるレンガの塀や古民家。歴史あるものに囲まれると不思議と落ち着きます。
室内から見る庭はとても静かで、まるで日本画のよう。

その中にある古民家カフェ「たちばなBASE367」では、地元の食材を使った軽食や飲み物を提供しています。縁側に座って季節の花を眺めながらのんびり一休み。カフェではオルレグッズも販売しています。


  • 新宮町の沖に浮かぶ相島(あいのしま)産のひじきを使った「ひじきコロッケ」200円をいただきます。
    (テイクアウトのみ)

  • オルレ発祥の韓国済州島の馬をモチーフにした小さな馬のカンセがかわいい!


休憩後に向かうのは近くにある「六所神社」(ろくしょじんじゃ)。
六所神社もオルレのコースになっています。約50段の階段を上った小高い山の上にある神殿にお参り。

産土神(うぶすながみ)といってその土地を守る神様が祀られていました。海と山が近い新宮町ならではのご利益をしっかりといただきます。


現代の町から新宮海岸へ

城下町を後にして、再び自然の道へ入っていきます。竹林を抜け緩やかな勾配を登ると、「しんぐう愛の丘」(しんぐうあいのおか)に到着です。九州オルレ 福岡・新宮コースの中で一番展望がよく、これから進んでいく賑やかな町並みが見渡せます。沖に見えるのは相島(あいのしま)。先ほど食べたひじきはあの島で取れたんですね。

麓にはみかん畑と賑やかな街並み、そして海。ここからは平坦な道が続きます。
 


「しんぐう愛の丘」を下り、田んぼを抜けた先には、「太閤水」があります。井戸を守ってくれているお地蔵様にお祈りして、湧き水を頂きます。
豊臣秀吉が九州遠征をした帰りに、ここの井戸の水でお茶を立て、「非常に清い」と喜ばれたとか。ここまでくるとこの旅も中盤過ぎ。秀吉と同じように私たちも立ち寄って、水分補給です。

今でも多くの人が訪れている水源はポンプで組み上げているそう。歩いた後の冷たい水は最高なんです。


夫婦子守大明神。新宮の子どもたちを守る神様が祀られています。

住宅街に入るとカンセやリボンの目印が目立ちにくくなるので注意が必要です。


住宅街を抜けると、高い建物や店が増えてきました。これまでのような自然と歴史が残る道がある一方で、人通りが多く近代的な町も通ります。いろんな誘惑がいっぱい。
ここで寄り道が増えるときっと海までは辿り着けないでしょう。




 

  • 寄り道ばっかりですが、IKEAでホットドッグを食べるのもありです。

  • 鳥のさえずりは、いつしか元気な子どもたちの声に。

  • 新宮中央駅もコースです。駅を通り抜けます。


松の道を抜けて

新宮中央駅を通り、道沿いに進んでいくと松の木々がお出迎えしてくれました。「楯の松原」(たてのまつばら)は松林が海岸線沿いに続いています。松の小道を抜けていくコースは普段あまり味わえない冒険感満載の道です。

住宅街から松の木立へ。これから最後のエンターテイメント。


入り口は住宅街の奥なのですこしわかりづらいので注意。リボンを目印にしましょう。入口には看板があります。

 


  • 松の木が鬱蒼と生い茂る道はカンセを見失うと迷い込んでしまいそう。

  • 17世紀に福岡藩が約20万本の松苗を植えたという記録がある松林。
    現在も海風や砂から住民の暮らしを守り続けています。

  • 松のトンネルを抜けると、そこは新宮海水浴場でした。
    夏季に開設される海水浴場は、多くの海水浴客で賑わいます。


広がる白い砂浜と海。今日はあいにくの曇り空。でもそんな海があってもいいじゃないか。山から海までわずか数時間なのですが、なんだか長い旅をしてきたような、大きな気分にもなれるいいコースです。潮風になびくカモメたちを眺めながら、砂を踏みしめて1歩1歩進んでいきます。ゴールまでは残り1キロ。


  • 広い砂浜に、ポツンとある矢印はなんだかセンチメンタル

  • ハクセキレイでしょうか、砂浜を私よりも先にテクテク歩いていました。

  • 夏はこのまま海にダイブして、汗ばんだ体を流すのもよさそうです。



…と思ったのも束の間、ここにきて道に迷ってしまいました。目印のカンセが向いていた先は、ブロック塀の狭い抜け道だったからです。
進藤商店の脇道はわずか50cmの幅でした。

明らかな私有地感。韓国済州島の言葉「通りから家に通じる狭い路地」まさにこれこそがオルレ。

さすがにここではないだろう、と思い込んで素通りしてしまいました。広い新宮海岸のおかげで、「通りから家に通じる狭い路地」というオルレの意味をすっかり忘れていました。この隙間の場所には干物が名物の進藤商店があります。

 


寄り道が多過ぎて、営業時間を逃す。次は海の幸からスタートしてみるか。

干物専門店「進藤商店」
営業時間:平日・土曜日9時~17時/日曜日・祝日10時~16時


  • 進藤商店からは右へ。
    道沿いの木々で矢印が見えづらいので注意して進もう。

  • ゴールの西鉄新宮駅まであと少し、住宅街の路地を通り抜けます。

  • 西鉄新宮駅に到着してフィニッシュ!


歩き終えた証しにオルレスタンプを駅で押しました。

朝からスタートしたのに、寄り道ばかりで、すっかり薄暗くなってしまいました。それだけ楽しかったという事。九州オルレ 福岡・新宮コースは、波のように時代を揺れ動く町と、山とみかんと海の道。歩く事でしか味わえないものをたくさん見つけた気がします。


これから(春)の見どころ

春と言えば桜の季節。カンセのある三本松山の桜の古木や六所神社の境内、太閤水を過ぎたことろにある桜並木など、春を感じさせてくれるスポットが点在しています。花が散った後の美しい新緑も魅力的ですね。


オススメスポット情報

■カンセ しんぐう愛の丘(オルレコースで一番眺めがいいところ)
■カンセ 三本松山(立花山を望む景色)
■カンセ 新宮海岸
■カンセ 楯の松原


立ち寄りスポット情報

■こみんかみかん/たちばなBASE367
※定休日:水曜日
住所:福岡県糟屋郡新宮町立花口1324(Google Map) 
電話番号:092-981-3470(新宮町おもてなし協会)
明治に建てられた古民家を移築した新宮町のニュースポット。スムージーや軽食で皆様をお待ちしています。

■VICINO Restaurant・Café
住所:福岡県糟屋郡新宮町緑ケ浜4-10-3(Google Map
電話番号:092-405-3056
新宮町でランチ・ディナーを楽しめるイタリアンレストランです。ピッツァやパスタでエネルギーをチャージしましょう!

■生そば工房たちはな
住所:福岡県糟屋郡新宮町立花口1088-8(Google Map
電話番号:070-2374-1234
暖かいお蕎麦や冷たい盛り蕎麦など、季節や天候に合わせて楽しめるメニューでお待ちしています。

■かき小屋 立花
住所:糟屋郡新宮町大字立花口1088-8(Google Map
※土日祝のみ営業
夏はかき氷、冬は牡蠣を提供しています。海産物の豊かな福岡らしい旬のグルメを堪能できます。


スタートまでのアクセス

■オルレのスタート「佐屋バス停」までのアクセス方法
【博多発】
・JR博多駅-(約15分)-JR福工大前駅-(徒歩 約1分)-コミュニティバスJR福工大前駅-(約25分)-佐屋バス停

【天神発】
・西鉄天神高速バスターミナルー(高速バス 約30分)-高速立花山バス停-(徒歩 約3分)-佐屋バス停

【車の場合】
・福岡都市高速香椎東IC-(車 約10分)-福工大前立体駐車場-(徒歩 約3分)-コミュニティバスJR福工大前駅-(約25分)-佐屋バス停

★ポイント!
行きのコミュニティバスは「山らいず線」を利用すること。もう一方の路線「相らんど線」は佐屋バス停には行かないので間違わないように。ダイヤがオレンジと青で色分けされているが、バスの色と一緒ではない。


注意するポイント

■ルートの注意点
・夫婦子守大明神からの道は開発工事のためルートが変更されている。案内板有り。(2022年2月時点)
・海岸から進藤商店へ入る抜け道は細くわかりづらいので注意。迷ったら、西鉄新宮駅へ向かおう。
・山間の民家の脇を通る道は、害獣避けの電気柵に注意。
・パンフレットの設置場所:スタート地点、JR新宮中央駅の観光案内所、西鉄新宮駅、こみんかみかん
■行動時間:約5時間
■高低差:100m
前半は山間を抜ける緩やかな勾配がある。後半は高低差はあまりなく、町並みを抜け最後は海岸線を歩く。
■距離:11.9㎞
■難易度:初級~中級
■エスケープ
・立花口バス停(コミュニティバス山らいず線) スタートから約3km地点
・新宮偕同園前バス停(コミュニティバス相らんど線) スタートから約7km地点


服装・装備

・歩きやすいスニーカー
・20~30Lのリュック
・夏場は帽子や汗拭きタオル
・動きやすい服装、登山用でなくともスポーツウェアでOK
・簡易的なレインウェア、傘やカッパ
・九州オルレ 福岡・新宮コースのパンフレット
・飲み物。夏場は多めに持って行く。途中で補給も可能。

あると歩くのが楽しくなる装備

■おやつや軽食
店が空いてなかったり、疲れた時に食べたりすると元気が出て、また歩きたくなる。

■双眼鏡や顕微鏡
持っていくと小さな発見がある。鳥や景観を眺めたり、植物を調べたり。

■現在位置の把握。GPSなど。
スマホのアプリ「YAMAP」。地図読みが苦手な人は自分の現在地がわかるのでおすすめ。


オルレのマナー

1.民家の庭にみだりに入らない。
2.人や個人のものを撮影するときは同意をもらう。
3.ゴミは必ず持ち帰る。
4.道沿いの農作物を勝手に採らない。
5.道端に咲いている花や木の枝を採らない。
6.民家付近等で大声で叫んだり、騒いだりしない。
7.次に訪れる人のために、リボンを持ち帰らない。
8.道案内の看板にはさわらない。
9.未舗装の道は、決まった経路を通る。
10.風景を楽しみながらゆっくりと歩く。
11.車道を歩くときは、車に気をつけて歩く。
12.コースから外れた急傾斜地等での危険な行動は控える。
13.途中出会う旅行者や地元住民の方々と笑顔 で挨拶を交わす。


九州オルレ福岡・新宮コースについて

(一社)新宮町おもてなし協会
092‐981-3470

 


九州オルレ特集記事はこちら

テキスト:原田 優(IN THE FIELD)
写真・ディレクション:村上智一
 


公開日:2022年3月10日
最終更新日:2023年1月25日

SHARE

次に読みたい特集記事

当サイトでは、利便性の向上と利用状況の解析、広告配信のためにCookieを使用しています。サイトを閲覧いただく際には、Cookieの使用に同意いただく必要があります。詳細はクッキーポリシーをご確認ください。
ページトップへ