【福岡グルメ】博多・長浜・久留米の違いとは?とんこつラーメン大解剖!
福岡県が誇る博多・長浜・久留米の3つのとんこつラーメン。明確な分類はできないものの歴史や特徴をわかりやすく整理してご紹介。もはや全国区の人気を誇る豚骨をつかったラーメンの人気の謎に迫ります!
また、ベジタリアンやヴィーガン、ムスリムも魅了する福岡のラーメンもご紹介します。
福岡県のラーメンといえば豚骨!その特徴は?
福岡ご当地グルメのひとつ「とんこつラーメン」。白濁した豚骨スープに細いストレート麺を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。 福岡県には1,000軒を上回るラーメン店があると言われ、近年では濃厚さを追い求めたものや、高い火力で長時間炊き上げスープの表面が気泡で泡立つ「カプチーノ系」と呼ばれるものなど、店ごとに豚骨の部位や下処理、炊き方などに工夫を加え、さらなる進化を遂げています。 今回は福岡を代表する3大とんこつラーメンのルーツを探りながら”とんこつ”が根付いた理由や注文の仕方、美味しい食べ方など、深掘りしてご紹介します!
白濁したとんこつラーメンの発祥とも言われる「久留米ラーメン」
まずは、とんこつラーメンのルーツを遡ってみましょう。とんこつラーメンの発祥は久留米市と言われています。1937年に「南京千両(なんきんせんりょう)」という屋台で、うどん屋を営んでいた店主の宮本時男さんが、東京や横浜の中華街で流行っていた支那そばを研究し、島原出身だったこともあり長崎県のチャンポンのスープも参考にして完成させたと言われています。当時は、白濁していない、比較的透明感のあるラーメンが提供されていたようです。
白濁したとんこつラーメンが誕生したのは1947年、同じ久留米に開業した屋台「三九(さんきゅう)」でのこと。
店主の杉野勝見さんが、仕込みの途中でスープを火にかけたまま外出。スープの火加減を任されていた母がうっかり長時間強い火力で炊いてしまい、乳化して白濁した豚骨スープになってしまったとか。開店時間も迫っていたため味付けしてみると、実に深いコクのスープになっていたという偶然の産物が、今のとんこつラーメンのベースになっています。
久留米ラーメンの特徴は、比較的濃厚で匂いが強いスープが多く、一般的には濃い豚骨と言われていますが、あっさり目の豚骨スープの店も存在しており、白濁した豚骨スープでも店ごとの個性を見せています。また、老舗のお店では寸胴ではなく、大きな羽釜が厨房にあり、強い火力でぐつぐつとスープを炊いている光景を目にすることもあります。
麺は、真っ白なやや太めの麺を採用しているお店も多く、茹で加減の指定や替え玉が無い店も。トッピングにはキクラゲやメンマ、ネギなど他のとんこつラーメンに見かけるものが採用されていますが、海苔をのせる店が多いというのも特徴のひとつです。
極細麺・替え玉文化を生み出した「長浜ラーメン」
長浜ラーメンとは博多漁港に面する長浜で誕生したラーメンで、1952年に開業した「元祖長浜屋」という屋台が発祥と言われています。大浜にあった魚市場前で営業していた屋台は市場で働く人たちから人気を得て、1955年に魚市場が長浜へ移転した際に、屋台も移転し多くの屋台が軒を連ねるようになりました。
市場で働く忙しい労働者に、素早く提供するために極細麺が使われ、伸びやすい麺は大盛りではなく「替え玉」というスタイルが考案され、とんこつラーメンの文化として定着しました。
当時の長浜ラーメンは、ドラム缶に豚骨を詰め込み強火で煮立ててスープを作っていたと言われています。丁寧に豚骨を下処理して炊くスープとの違いや、当時の豚のエサの違いなどから、強烈な「豚骨臭」があり、匂い自体も楽しむワイルドな豚骨スープでした。
その癖をマイルドにするために、すりごまやニンニク、口直しの紅ショウガなど卓上のトッピングで味変するスタイルも多くの店で見られます。特徴ある「匂い」がクセになる、この旨さをぜひ体験してみてください!
全国に豚骨を広めた「博多ラーメン」
博多ラーメンといえば、白濁した豚骨スープに細麺のイメージが定着し、その人気はもはや世界レベルといっても過言ではありません。
でも、元祖の博多ラーメンは、1940年に創業した屋台「三馬路(さんまろ)」と言われ、濁りの少ない豚骨スープに平打ちの細麺で提供していたようです。この源流にラーメンは「五馬路(うまろ)」という店を経て、現在は「博多 うま馬」に継承されています。
1946年には、濁りの少ない豚骨スープの屋台「博多荘(ワンタンメン発祥の店としても有名)」や、白濁した豚骨スープに平打ちの細麺の屋台「赤のれん」、「博龍軒」などが開店。時代の流れとともに、久留米で生まれた白濁した豚骨スープを炊く乳化の技術や、長浜の細麺・替え玉などを取り入れる店も増えていきました。
ご当地ラーメンブームもあり、博多地区に限らず福岡市内のラーメン店でも「博多ラーメン」を名乗る店が増え、福岡の白濁した豚骨スープにストレートの細麺が広義で「博多ラーメン」として全国的に知れ渡るようになりました。
久留米・長浜・博多ラーメンのルーツを見ていきましたが、実際には諸説あり、明確な分類はなく各店舗が日々研究を重ね、それぞれが考える個性を押し出したおいしいラーメンを福岡では食べることができます。
基礎知識をもとに、王道系から進化系まで福岡のラーメンを食べ比べてみてください!
オーダーから完食まで!とんこつラーメンの食べ方を改めて紹介!
お店により、メニュー構成やオーダーの仕方、卓上にあるトッピングもさまざまですが、福岡のとんこつラーメンの注文の仕方、食べ方など基本的な流れをご紹介します。
まずは注文、最近は券売機のお店も増えているので、好みのラーメンとあわせて、替え玉をする人は先に食券を買っておきましょう(後から現金で対応してくれる店も多くあります)。
注文とあわせて麺の茹で具合をオーダー。店により若干異なりますが、基本的に硬い方から
・生(粉おとし)
・ハリガネ
・バリカタ
・カタ
・普通
・ヤワ
・バリヤワ
何も言わなければ、「普通」で出てくるので、店の基準を知るためにもあえて「普通」を楽しむのもOK。地元の人は細麺なので少し固めで注文する人が多いようです。
長浜系の店によっては油の量も、こってりの「ベタ」、「普通」、あっさりの「ナシ」から選べる店もあり、「ベタカタ!」「ナシバリ!」など注文が飛び交い、肉のお替り「替え肉」があるお店もあります。
注文したラーメンが出来上がったら、まずはそのままスープと麺を味わいましょう。途中から卓上にある辛子高菜、紅生姜、ニンニク、すりゴマ、胡椒で好みの味変を。お店によっては刻み生姜、もやしナムル、柚子胡椒などが置いてある店も。
替え玉の注文時は、スープが冷めないために1玉目を食べ終わる少し前にオーダー!最初のときよりスープの温度も下がっているため、最初の注文よりひとつ柔らかめで注文するのもおすすめです。味が薄くなっていたら卓上の「ラーメンダレ(かえし)」で調整しましょう。
とは言え、こう食べなきゃいけないというルールはありません!いろいろなお店に訪れてお気に入りのとんこつラーメンと食べ方を見つけてみてください!
Column
ラーメン滑走路
福岡空港には「ラーメン滑走路」と名付けられたフロアがあり、知る人ぞ知るラーメンの名店が全国から集結!福岡の有名店の"とんこつラーメン"もここで食べることができます。福岡での旅の始まりやおしまいに、至福の一杯を是非お楽しみください!
もっと見るベジタリアンやムスリムも魅了する福岡のラーメン
とんこつラーメンの美味しさは、日本だけでなく世界中の人たちを虜にしています!近年新しい取り組みとして、お肉が食べられないベジタリアンやヴィーガン、豚肉を食べることができないムスリム(イスラム教徒)のためのとんこつ風ラーメンも登場しています!
ブーゴロALL VEGAN
福岡市にあるヴィーガンラーメン・スイーツのお店。20年以上ヴィーガン料理を作ってきた店主オリジナルの「ヴィーガンラーメン博多風」と「ヴィーガン担々麺」(選べるヴィーガンスイーツ・ドリンク付)を提供しています。3席しかないため予約がおすすめです。
鮨しま
福岡市にある「鮨しま」では、ランチの予約限定で、豆乳と、野菜でとった出汁を使ったスープに、植物性の麺、ネギや海苔などがトッピングされた「お鮨屋さんが作ったヴィーガンOK豚骨風ラーメン」を食べることができます。動物性食品や添加物は不使用の、心にも体にも優しいラーメンです。