お鮨屋さんが作ったヴィーガンOK 豚骨風ラーメン-1

お鮨屋さんが作った「ヴィーガンOK豚骨風ラーメン」誕生!

福岡県ではさまざまな国際会議や国際イベントが開催され、世界各国から多くの人々が訪れています。そうした中、ニーズが高まっているのが「ヴィーガン」や「ハラル」対応のご当地グルメ。福岡県主催の「食の多様性対応セミナー」に参加された「鮨しま」さんに、「ヴィーガンOK豚骨風ラーメン」の誕生秘話をお聞きしました。


ヴィーガンラーメンとは?

「お鮨屋さんが作ったヴィーガンOK豚骨風ラーメン」のスープには、豆乳と、野菜でとった出汁を使用。植物性の麺に、ネギや海苔などがトッピングされています。

久留米のこってりラーメンよりも、長浜のあっさりラーメンに近い、豚骨「風」ラーメン。動物性食品や添加物は不使用で、口に入れた瞬間から罪悪感のない、心にも体にも優しいラーメンです。「お酒の後のシメに欲しい」との声もあり、ヴィーガンの方だけでなく、健康意識や美意識の高い非ヴィーガンのお客様にも好評です。そのほか、野菜を使ったヴィーガン寿司もあります。

※ランチセット(いなり、野菜の細巻き、小鉢付き)のみでの提供。
2,750円(税込)、要予約


「お鮨屋さんが作ったヴィーガンOK豚骨風ラーメン」開発秘話

「ヴィーガン・ハラル対応」を始めたきっかけは何ですか?
鮨しま女将

鮨しま女将

きっかけは2022年秋に始まった、福岡市の取り組み「食のユニバーサル対応マップ(FUKUOKA city MAP for VEGAN VEGETARIAN MUSLIM)」への参加でした。2023年7月の世界水泳に向けて、嫌がる大将抜きでなんとか間に合わせたものの、私の力不足で結果は鳴かず飛ばず。大将からは「ほ~ら!やけん言ったろう、お前のあんなスシじゃ失敗するって」と何の生産性もないお言葉を頂戴し、「嫌味じゃなくて、解決策を考えて。できないなら黙って。一人で戦うから足を引っ張らないで!」と言い返す日々が続きました。

ご夫婦の間でも、かなりの温度差があったようですね?

鮨しま女将

鮨しま女将

「新しいことに取り組む」ことに全く抵抗のない女将と、非常に抵抗のある大将。ヴィーガンへの取り組みは、まさにそんな2人のぶつかり合いの数カ月間でした。セミナーでうかがった感じでは、どちらの飲食店さんも「職人を動かすことが一番難しい」とのことで、大将からはことあるごとに水を差されたり、セミナーで学んだことを伝えようにも居眠りされたり、大変でした。
実は、夏の間に経営者仲間のお力でメディアにたくさん出させていただいたおかげで、秋に入ってすぐ、東京の超大手旅行会社から海外VIPのヴィーガン案件をお受けしていたんです。その予約日が迫っているというのに、大将がそんな調子で…。

そんな大将をどうやって説得されたんですか?

鮨しま女将

鮨しま女将

膠着状態だったある日、大将が突然「お鮨屋さんが作ったヴィーガンOK豚骨風ラーメン」を作り出したんです。大将いわく「ふ、と降りて来た」とのこと。手前味噌ではありますが、23年間の修業の努力と、本来の柔軟性が結びついた結果なのではと思います。また、居眠りしながらも、ヴィーガンやハラルの基準についてきちんと聞いていてくれたんでしょう。「開発秘話」というからには、「夫としての愛情が生んだ一品」ということにしておきたいと思います。

ヴィーガンラーメンとは、どのようなラーメンか教えていただけますか?
鮨しま女将

鮨しま女将

濃さは大将の出身地である久留米のこってりラーメンよりも、店舗のある長浜寄りのあっさりラーメンに近いです。そんな「豚骨“風”ラーメン」ですが、動物性食品も添加物も使っていないので、口にいれた瞬間から罪悪感の無い、心にも体にも優しいラーメンに仕上がっています。ヴィーガンではない、健康意識や美意識の高いお客様にも好評で、男性のお客様からは「お酒の後のシメにも欲しい」とのお声もいただいているんですよ。

VIPのお客様の反応はいかがでしたか?

鮨しま女将

鮨しま女将

おかげさまで、当店にとって最初のヴィーガン顧客となった海外VIPからも、その周りの方々からも、大好評を博すことができました。それを機に、完全に大将のマインドが変わりました。ヴィーガンに対して非常にポジティブになったようです。それから間を空けず、ヴィーガン対応のご予約が続けて入るようになりました。個人のインバウンドのお客様だけでなく、福岡市に最近できた超高級ホテルのコンシェルジュさんからも。
当店は元々要ご予約の店なのですが、かつディナーでのご予約に限りということで、現時点では特別対応でご用意させていただいています。どちらのお客様からも大変好評で、先日は「大将が培ってきた伝統の技と、ヴィーガンという新しいものの融合ですね!」と素晴らしいお言葉を頂戴でき、非常にうれしかったです。

ヴィーガンメニューに取り組んでみていかがでしたか?

鮨しま女将

鮨しま女将

ヴィーガンメニューを取り巻く環境は厳しいものですが、ヴィーガンメニューを求めているお客様や、そのようなヴィーガンの顧客を抱えるホテル・旅行代理店とも協力できるので、未来のある取り組みだと感じています。今はまだヴィーガンメニューにしか取り組めていませんが、今後はヴィーガンメニューのブラッシュアップと、ハラルメニューの開発も念頭に入れています。
福岡県主催「食の多様性対応セミナー」で教えてくださったフードダイバーシティ株式会社(東京)の方々や、県のご担当者には非常に親切にしていただき、セミナー中も気持ち良く取り組みを進めることができました。今後も引き続き商品のレベルアップに努めていきたいと思っています。


鮨しま 店舗情報

2019年11月10日に創業。翌月からコロナ禍で世界が騒ぎ始め、小舟が大海に漕ぎ出した途端、大嵐に遭遇したような試練に見舞われる。4カ月後のパンデミック宣言(2020年3月11日)から2023年5月8日に2類から5類に変わるまでをコロナ期間と捉えると、「お店の歴史」=ほぼ「コロナ禍の歴史」。しかしその後の半年間は、県のセミナーへの参加を含め、今までの穴を埋めるかのようにばく進中(主に女将が)。

<鮨しま>
住所:福岡市中央区港2-10-3 第2土肥ビル1F(大濠公園北側/かもめ広場西側)
電話番号:092-753-6512(12:00~21:00)
営業時間:12:00~14:00/18:00~22:00
定休日:日曜日、不定休


鮨しま大将:中島彰則(なかしまあきのり)
鮨職人歴:23年

福岡県久留米市発祥の鮨一族の2世代目として、食の英才教育を受けて育つ。それぞれ独立した個人商店を持つ一族の中にあって、実家に甘えず外に出て修業を積み、「鮨しま」を創業。
人柄そのままに、鮨や料理に対しても、見えるところばかりを飾るのではなく、見えない部分・地味な部分をどれだけ丁寧に扱うかを重視。「うちの鮨は、“ばえない”んじゃないんだ、“ばやさない”んだ」がポリシーで、「料理なら出汁、鮨ならシャリ」といった土台を大事にしている。
(※「ばやさない」は大将の造語)


鮨しま女将:中島小百合(なかしまさゆり)
海外武者修行歴:13年

飲食店経験ゼロだったが、愛する大将のため40歳で厳しい鮨業界に飛び込む。福岡県立福岡女子大学卒業後、オーストラリアとシンガポールで合計13年間、人生の武者修行。シドニーのマコーリー大学大学院卒業直前に大将と出会い、「“人財”を見つけた!」と雇用契約書の代わりに婚姻届に捺印させ、創業準備を一手に引き受ける。
「狭い厨房の中で調理補助をしていても、控えめにニコニコ接客していても、うちのお店には(他店のようには)お客様は来ていただけない」と危機感を抱き、アウトローながら自分なりの方法で前に出て戦っているうちに、「食のユニバーサル対応マップ(FUKUOKA city MAP for VEGAN VEGETARIAN MUSLIM)」(福岡市)、「食の多様性対応セミナー」「メニュー開発支援」(いずれも福岡県)などへの参加をきっかけに「ヴィーガン」「ハラル」に出会い、その面白さに目覚める。


ヴィーガンの人も、そうでない人も、選択肢のひとつとして多様なメニューが増えるのはうれしいことですね。大将の技とアイデアが生み出した福岡名物・豚骨“風”ラーメンと、和食の定番・寿司を、ぜひ味わってみてください。


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