【サイクル福岡】BRTひこぼしラインと沿線をスペシャルライド!
2023年8月28日(月)の開業を前に開催された、「BRTひこぼしライン」のスペシャルライドイベント。自転車では二度と走れないBRT専用道と駅に続く一般道を巡って、自然豊かな沿線の魅力を体感しました。
宝珠山駅から、いざスタート!
まだまだ梅雨の不安定な天気が続く中、奇跡的に晴れた日曜日。この日、ライドに参加したのは事前応募の50人。北九州や久留米など福岡県内だけでなく、遠くは熊本県からの参加者も。BRTの開業後はバス専用道となるため、自転車で走れるのはこの日だけという貴重な機会です。
主催者の挨拶や注意事項を確認して、スタート地点の宝珠山(ほうしゅやま)駅へ。ホーム上に福岡県と大分県との県境があります。参加者は10人ずつ5つのグループをつくり、揃ったところで記念撮影。駅舎で地元の皆さんの歓迎を受けて、いよいよライドのスタートです!
Column
BRTひこぼしラインとは
「BRTひこぼしライン」は、「平成29年7月九州北部豪雨」で被災したJR日田彦山線の添田駅から夜明・日田駅間をつなぐ、約40kmのバス高速輸送システム。そのうち宝珠山駅から彦山駅までの約14kmの区間がバス専用道路で、かつての鉄路がアスファルトの道路となり、地域の人や文化を運んでいきます。
また、福岡県内で最も奥深いといわれる山間を南北に抜ける景観にも注目です。緩やかなカーブはあるものの、ほぼ真っすぐな道路からは、緑豊かな山々と、その隙間を縫うように現れる美しい棚田や清流を一望。途中、3つの大きなアーチ橋(眼鏡橋)や長さ4kmを超える釈迦岳トンネルなど、さまざまなポイントが楽しめます。
巨大なアーチが映える! 眼鏡橋
バス専用道路区間には、「栗木野橋梁」「宝珠山橋梁」「第二大行司橋梁」という3つの眼鏡橋があります。特に宝珠山橋梁は長さ79.2m、高さ約20mという巨大な眼鏡橋で、緑の山々を抜けて真っすぐに伸びる橋上からの景色が格別です。栗木野橋梁からは周辺の美しい棚田を一望できます。
暗くて涼しい釈迦岳トンネル
筑前岩屋駅と彦山駅の間では、鉄道トンネルとしては九州最長(建造当時)の釈迦岳トンネル(4,378m)を通ります。暗いトンネルの中に揺らぐ赤いテールライトが幻想的。緩やかなアップダウンはありますが、坂であることに気づかないくらいスムーズな走り心地で、ひんやりとした空気が気持ちいい!
クセがなくまろやかな岩屋湧水
筑前岩屋駅では、環境省の「平成の名水百選」に選ばれた岩屋湧水を飲むことができます。釈迦岳トンネルの掘削時に湧き出たもので、湧水量は1日に15,000tといわれ、硬度31度の軟水はお茶やコーヒーに最適とか。もちろんライド中の喉をしっかり潤してくれました。
小石原へのヒルクライム
釈迦岳トンネルを抜けると、BRT彦山駅に到着。ここまでBRT専用道を約14km走ってきましたが、傾斜らしい傾斜もほとんど感じない、まさに鉄道として生まれた道路だと再認識。再び地域の足となって笑顔をつないでほしいと思います。トンネルと眼鏡橋が続く景観も素晴らしいので、多くの観光客がBRTを使ってこの地を訪れることを期待したいところです。
さあ、ここからは一般道を走行。修験の山・英彦山(ひこさん)の入口でもある駅前から、この日のライド最大の難所、小石原へのヒルクライムが始まります。小石原に向かう国道500号は、10月に開催される「マイナビ ツール・ド・九州」のルートにもなっていて、約6kmの間に300mを上る少し険しい道のり。全国に知られる小石原焼の故郷は、まさに山の上。民陶の里へ向かってグループの士気が高まります。
厳かにたたずむ巨木・行者杉
日本三大修験霊場のひとつ、英彦山に向かう修験者たちが、大事な修行の場である小石原の地に奉納植栽したもの。中でも「大王杉」と名付けられた巨木は、推定樹齢600年、幹回りが8.3m、高さは約55mにもなり、林野庁の「森の巨人たち百選」に選ばれています。一帯は立派な杉の木が作り出す厳かな雰囲気に包まれています。
美しい日本の原風景! 竹地区の棚田
ライドの最後に訪れたのは、農林水産省「日本の棚田百選」に選ばれた竹地区の棚田。小石原地区から大肥(おおひ)川に沿って国道211号をダウンヒル。大行寺まで一気に下ったら、県道52号を北上します。
美しい田畑と、BRTひこぼしラインの眼鏡橋を眺めながら走っていると、筑前岩屋駅あたりから坂道がきつくなり、ペダルを踏むごとに棚田がだんだん鮮やかに見えるように。「竹棚田展望台」まで上りきると、眼下に広がる約400枚の石積みの棚田が、夏空の下で静かにゆったりと時を刻んでいるようにも感じます。
ゴールは再び宝珠山駅へ
再び宝珠山駅へ戻り、無事にゴール。BRTひこぼしラインと沿線の豊かな自然、地域の歴史や文化に触れたスペシャルライドを通して、福岡県で最も奥深いエリアのひとつである東峰村と添田町の魅力を再発見できました。緑豊かな自然の中で共に汗をかいた仲間たちと笑顔で触れ合い、またこの場所へ足を運びたくなる貴重な体験でした。