【誰でも参加OK!】北九州門司港の「バナナの叩き売り」のこと丸わかり♪
明治から昭和初期にかけ建てられた趣深い建物が今なお残る、北九州・門司港レトロ。ここの名物のひとつで、時折SNSなどで話題となるのが「門司港のバナナの叩き売り」です。リズム良く飛び出す威勢のいい言葉“唄(うた)売り”や、歯切れのいい言葉で引き込むいわゆる“啖呵(たんか)売り”と呼ばれるもので、映画『男はつらいよ』の寅さんによる口上がきっかけで全国的に有名になりました。現在では国内のみならず、インバウンドの方々も楽しめる人気のパフォーマンスとなっています。
門司港発祥「バナナの叩き売り」のルーツは明治時代から
「バナナの叩き売り」は門司港を発祥地とする伝統芸であり、ユニークな口上を並べながら競りでバナナを売りさばく商法のひとつです。
歴史は遡ること1905年。当時は日本の統治下にあり、地理的にも近かった台湾からバナナが大量に輸入されるようになった際、船での輸送中に痛んでしまった当時は高級だったバナナを無駄にせず販売するために始められました。当時は九州初の鉄道本社もあり(現:九州鉄道記念館)、門司港が九州の玄関口であったこともその賑わいに拍車をかけ、露天商がお客を楽しませながらバナナを売りさばく光景が港のあちこちで見られるようになりました。
やがて戦争とともに叩き売りは姿を消しましたが、1976年に地域おこしの一環で復活を遂げ、映画などを通じて全国的に話題となりました。
2017年4月には、この伝統芸が日本遺産の無形文化財(関門ノスタルジック海峡)に認定されました。年齢の高い方は懐かしさ、若い人や外国人観光客には新しさを感じさせる門司港の名物パフォーマンスとして、現在も「門司港バナナの叩き売り連合会」7団体を中心に守られ、引き継がれています。
毎週土・日曜の13時から、誰でも参加できる!
「バナナの叩き売り」は毎週土・日曜(第5週は除く)の13時から、門司港レトロ物産館港ハウス前を中心に、門司港レトロ地区各所で開催されています。申込や制限などはなく、どなたでも参加できますよ。
「高い!」「もっとまけて!」の合いの手を入れながら楽しむ
「バナナの叩き売り」は、売り手が最初に提示した金額よりも値段が下がっていくのが特長です。
買いたい人が他の人に落札されないように金額を上げて競り落とすポピュラーさとは真逆のもの。「どうしても買ってほしい」という思いから、金額を下げてお客さんに買ってもらうようにしているんです。
朗々と威勢のいい口上には、お客さんが楽しくかけあいをしながら、「高い!」「もっとまけて!」と合いの手を入れたり、付き人のコミカルな相槌が入ることも。一緒になって合いの手を入れてみるのも楽しく、まさにライブで言うところのコール&レスポンス。気持ちが固まったら「買った!」と爽快な一声を。その時でしか味わえない会場の雰囲気と、売り手との楽しい掛け合いをお楽しみください。
叩き売りの様子を動画で観てみよう!
では、実際にバナナの叩き売りがどのように行われているのかを動画でチェックしてみましょう♪
売り手によって違う、個性あふれる口上にも注目です。
「門司港バナナ資料室」でバナナ文化を体感!
関門海峡ミュージアム内の海峡レトロ通り2Fにある「門司港バナナ資料室」では、バナナの叩き売りのルーツが分かるパネルや郷土資料、昭和期のレトロなポスターや叩き売りの口上「バナちゃん節」が収められたレコードなどが展示されています。バナナの妖精「バナナ姫ルナ」の等身大パネルや、叩き売りになりきれる記念撮影コーナーもあり、見て聴いて門司港のバナナ文化を体感することができます。
Column
バナナの妖精のイラストキャラクター「バナナ姫ルナ」
門司港の魅力を広めるために生まれたバナナの妖精のキャラクターです。門司区役所が主催したイベント「門司港バナナ博物館2015」で初めてお目見えして以来、人気を博してきました。この可愛らしいキャラクターは、北九州市出身のイラストレーター・しいたけさんによってデザインされました。バナナ姫ルナと門司区のマスコットキャラクター「じーも」の間には、知られざる物語も存在するのだとか(詳しくは門司区役所公式動画チャンネル「じーもの門司港バナナ伝」をぜひご覧ください♪)。
門司港を代表する二人のご当地キャラにぜひ会いにきてくださいね。
唯一無二の“バナナ映え”フォトスポット!?
レトロな街並みが美しい門司港ですが、バナナにちなんだ珍しいフォトスポットがあるんです。
まずご紹介するのは、バナナがトッピングされた「幸せの黄色いバナナのポスト」。2022年4月に港ハウス前に誕生した「あたたかさ」や「幸せ」なイメージをさせる黄色いバナナポストです。もちろん通常のポストと同じようにお手紙を投函することができるので、旅の思い出に大切な方へお便りしてみるのも良いですね。何か幸せなことが起こるかも……?
JR門司港駅前(旧門司三井俱楽部側)には「バナナの叩き売り発祥の地」の記念碑があります。唯一無二の、門司港ならではなフォトスポットで記念の一枚を撮ってシェアしてみませんか♪
「バナナの叩き売り」がはじまるよ!7つの団体によるユニークな口上
バナナの叩き売りを大切に守り、後継者へと繋ぐ「門司港バナナの叩き売り連合会」。現在7つの団体が所属し、それぞれの個性を活かした口上とパフォーマンスでまちを盛り上げています。
メンバーの皆さんの多くは、今年で18年目となる「バナナ塾」や「バナちゃん道場」でバナナの叩き売りを学んできた地元の方々。古くから受け継がれてきた「バナちゃん節」をはじめ、流行り歌や芝居、七五調のリズミカルでクスっと笑えるフレーズなどが盛り込まれた口上は団体ごとにオリジナリティ満載です!
でも、「売り手も買い手も楽しみたい、門司港のまちを盛り上げたい」という気持ちはどの団体だって同じ。パフォーマンスだけでなく、門司港LOVEな温かい人柄が感じられるのも魅力なんです。どの団体に出逢えるかな?とワクワクしたり、それぞれの口上や雰囲気の違いを楽しめるのもバナナの叩き売りの楽しみのひとつ。
実際に行ってみる前に、まずは動画で7団体によるバナナの叩き売りをチェックしてみましょう♪
この道40年のベテランに聞いた!「バナナの叩き売り」の醍醐味
北九州・門司港発祥の大道芸でもあり、日本遺産に登録された文化でもある「バナナの叩き売り」の発展と継承に努めている「バナナの叩き売り連合会」会長の日野雄二さんは、この道40年の大ベテラン。
そんな日野会長に、バナナの叩き売りの楽しさや醍醐味を聞いてみました。
バナナの叩き売りをする際に、一番大切にしていることは?
日野会長(Yuji Hino)
笑顔を大切に、楽しい気持ちがお客様に伝わるよう心掛けています。まずは呼び込みの口上で興味を持っていただいて、そこからは会場にいらっしゃる方一人ひとりをしっかりと見ながら、押したり引いたりの駆け引きで盛り上げていきます。お子さまがいたら味見していただいたり、その時その時を大切に、私たちもお客様と一緒になって楽しみます。
口上は決まっているのですか?
日野会長(Yuji Hino)
昔から引き継がれている『バナちゃん節』や七五調のリズミカルな啖呵売り以外にも、民謡や流行を取り入れたフレーズや歌、ラップまでさまざまです(笑)。最近は、市役所職員の方が北九州観光の魅力を盛り込んだ『北九州観光バナちゃん節』を作りました。自由に創作できるのも叩き売りの魅力のひとつですね。
長く続けられる、その魅力を教えてください。
日野会長(Yuji Hino)
1,000回以上は叩き売りをやっていますが、ひとつとして同じものはありません。『次はこういう言い回しをしてみよう』など、もっとお客様に喜んでいただけるよう色々と試行錯誤するのは楽しいですね。私は今年で70歳になりますが、年齢による特徴を活かしたパフォーマンスができるのも長く続けられる魅力です。
今後の目標はありますか。
日野会長(Yuji Hino)
これまで積み重ねてきたものを大切にしながら、売り手として励みながらも、より多くの人にその歴史や価値、魅力を伝えられるよう伝承にもいっそう努めていきたいです。……実は、『1分間でバナナを何本食べられるか』のギネス記録にも挑戦中なんです(笑)。もっと色んなチャレンジをしていきたいですね。
日野会長をはじめ、個性あふれる7つの団体が披露する「バナナの叩き売り」。ぜひ、その目で見て肌で感じて、楽しいライブ感を存分に味わってくださいね。
門司港の思い出をお土産に!おすすめバナナスイーツ3選
「バナナの叩き売り」の魅力、たっぷりと伝わったでしょうか。
門司港を存分に楽しんだあとは、思い出をお土産に持ち帰りましょう♪バナナの叩き売り連合会」会長の日野さんおすすめのバナナにちなんだ人気のお土産をご紹介。
【バナナカステラ】
バナナクリームが入ったものや、カットされた長方形のものなどがあります。どちらもバナナの風味がしっかりと効いており、食べ応えも抜群です。
【バナナドーナツ】
バナナペーストを練り込み、しっとりと焼き上げたベイクドドーナツ。程よい甘さのバナナフレーバーが人気!
【そのままバナナ】
コロンと一口サイズの小さなフォルムが可愛い♥バナナが香るなめらかな餡と、ふんわり軽やかな皮の饅頭です。
※掲載されている情報は2024年3月時点のものです。