【食の多様性】ヴィーガン・ムスリム対応セミナー&試食会が開催されました!
福岡県では、ヴィーガンやムスリムなど多様な食文化を持つ旅行者に対応できる飲食店・宿泊施設等の充実を目指し、食の多様性対応のセミナーと試食会、専門アドバイザーによるメニュー開発支援を実施しています。
2024年度は、7月25日に基礎編のセミナー、そして8月21日に試食会が行われました。参加レポートをお届けします!
基礎編:セミナー
7月の基礎編では、「今日からはじめる!ヴィーガン・ムスリムetc対応~最新動向と福岡での対応方法~」と題して、フードダイバーシティ(株)の守護彰浩さんが講義を行いました。
2023年度の本事業に参加した鮨しま(福岡市)さんの「ヴィーガンOK豚骨風ラーメン」を紹介し、食の多様性に対応したメニュー作りの最大のポイントは「違いではなく共通点を見ること」と力説。既存メニューの食材や調味料の一部をヴィーガン・ムスリム対応に替えるだけで、簡単に、オペレーションに負荷をかけることなく、より幅広いニーズに応えることができるという重要性を説きました。
試食会:目からウロコの試食会~実践者が語る成功のヒケツ~
8月の試食会では、基礎編セミナーの内容を復習し、より具体的な実践方法を紹介。実際にヴィーガン、ハラールメニューを開発・提供している2人のシェフが工夫を凝らした料理を披露しました。
ヴィーガンメニュー4品を提供した楠本勝三シェフ。2019年から運営しているヴィーガンレストラン「菜道 saido」(東京)は同年11月、世界最大級のベジタリアン・ヴィーガンレストラン検索アプリ「Happy Cow」で世界11万店舗中「最も人気のあるヴィーガンレストラン」の評価を獲得しています。
ヴィーガンのメニュー開発のポイントは「肉の代用品探し」ではなく、「完成する一皿の味」をどうおいしくするかという観点でメニューを作っているとのことです。
例えば、簡単な取り組みとして「枝豆やフライドポテトはヴィーガンメニュー。冷奴も、上にのっている鰹節やネギをカイワレ大根に替え、醤油をアルコール無添加のキッコーマン特選に替えるだけで、ヴィーガン&五葷フリー、ムスリム対応のメニューになります。まずは、身近な既存メニューから始めてみるのがオススメ」とアドバイスを送りました。
ハラールメニュー3品を提供した亀崎政彦さん。2005年から豪州シドニーの日本食レストランで料理長を務め、現在は福岡を中心に約25店舗を展開する(株)ツマミナでエリアマネジャー兼商品開発を担当しています。
亀崎さんが開発した大ヒットメニュー「ハラールもつ鍋」は、ハラール認証の牛肉とアルコール不使用で作り、ムスリム向けのInstagramアカウントで情報発信。お客様の30%がムスリムで、インドネシアやマレーシア、中東の方が多いそうです。
「店舗オペレーションの負荷軽減と材料の混入を防ぐために、メニューはハラールもつ鍋1種類で全ての人に対応しています。今はまだ需要に対して供給が少ないので、ビジネスチャンス。お客さんに喜んでもらえる商品開発は楽しいので、ぜひやってほしいですね」とエールを送りました。
試食メニュー紹介
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【ヴィーガン・ハラール】博多ラーメン(スープ)
数種類の野菜やマッシュルームのポタージュをベースに、糸島ねぎ油(ねぎ・こめ油)やニンニクをふんだんに使用。スープ単体ではなく、のどから鼻に抜けるとんこつ特有の香りを再現し、トータルとしてのとんこつラーメンを作るイメージ。
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【ヴィーガン・ハラール】一口餃子
ひき肉を大豆ミートなどで代替しないことが第一歩。夏野菜をアルコール無添加の麦味噌で炒め、寒天で軽くとろみを付けたものを餃子の皮(酒精抜き)で包む。みりんの代わりにアガベシロップを使用。
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【ヴィーガン・ハラール】鰻重
豆腐・根菜・長芋を使い、昔ながらの精進料理の鰻を現代風にアレンジ。これだけでは脂分と旨味が足りないので、タレにも旨味を加えている。皮の部分は福岡県産の有明のりで磯っぽさを表現。菜道でも一番人気のメニュー。
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【ヴィーガン・ハラール】八女茶のチーズケーキ
大豆由来のヴィーガンチーズ、
豆乳、寒天を使用 。 トッ ピングには八女茶のパウンドケーキ(乳・卵不使用)を散らしている。 検索すれば同様のレシピは多くあり、好みのものを選択可能。 -
【ハラール】水炊き
鶏肉は四国のハラール地鶏を使用。ポン酢はアルコール無添加の酢と醤油、ハラール認証のみりん風調味料で作っている。
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【ハラール】もつ鍋
熊本県産のハラール牛もつと、アルコール不使用のみりん風調味料で対応している。濃い味を好むお客様が多く、みそ味が人気。
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【ハラール】明太子クリームパスタ
明太子はアルコールフリーでの製造を特別に依頼している。これがクリアできればハラールに対応しやすいメニュー。
いかがでしたか?多様な食文化に対応できるだけでなく、食に制限がない人にとっても、ヘルシーなメニューとして選択肢が増えるのは素晴らしいことですよね。まだまだ多くの伸びしろがあるヴィーガン・ハラールメニュー開発、興味のある方はぜひリンクをご覧ください。