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山本作兵衛の残した炭坑絵画・日記 日本初の世界記憶遺産に登録

山本作兵衛の残した炭坑絵画・日記 日本初の世界記憶遺産に登録 秋祭り 秋の日本庭園めぐり

山本作兵衛(やまもと・さくべえ)プロフィール

1892年(明治25年)、福岡県笠松村(現・飯塚市)生まれ。
14歳から炭坑で働き、1955年(昭和30年)まで、仕事の様子を日記に詳述。炭坑労働者を辞め、炭坑事務所の警備員だった65歳の時から、炭坑記録画を描き始めた。1984年(昭和59年)に92歳で亡くなるまで残した絵は千点を超える。世界記憶遺産への登録は、炭坑記録画と日記、雑記帳など約700点。福岡県田川市の田川市石炭・歴史博物館には約630点が所蔵されている。
出版物には、「明治大正炭坑絵巻」(1963年)、「画文集 炭鉱に生きる」(1967年)、「山本作兵衛画文 筑豊炭坑繪巻」(1973年)、「王国と闇」(1981年)、「画文集 炭鉱に生きる」(2011年)がある。

「世界記憶遺産」登録により炭坑の歴史にスポット
 世界の人々の営みを記録した歴史的文書などの保存と振興をめざす国連教育科学文化機関(ユネスコ)「世界記憶遺産」に、田川市などが所有・保管する炭坑記録画家・山本作兵衛の絵画や日記などが登録された。「世界記憶遺産」への登録は、国内では初めてである。
人類の記録を後世に残す「世界記憶遺産」とは?
 「世界文化遺産」や「世界自然遺産」には馴染みがあっても、「世界記憶遺産」は知らなかった人がほとんどのはず。今回、山本作兵衛の作品が登録された「世界記憶遺産」は、一九九二年に始まった事業で、これまでに、フランスの手書き版「人権宣言」やアンネの日記など七十六カ国百九十三件が登録されている。個人に記憶があるように社会集団も共有の記憶を持つという「コレクティブ・メモリー(Collective Memory・集団的記憶)」の理念のもと、選考がなされている。今回登録された山本作兵衛作品は、世界の労働者たちが共有すべき価値をもった人類の財産として高く評価された。
労働者の目線で描かれたヤマの作業や人情
 山本作兵衛は、幼い頃から採炭夫や鍛冶工として、筑豊地域の中小の炭坑で働いた。
 一九五七年(昭和三十二年)、田川市の炭坑事務所で宿直警備員として働き始めたころ、子や孫らに当時の生活を伝えたいと絵筆を握り炭坑の絵を描き始めるようになった。
 「ヤマは消えゆく、筑豊五百二十四のボタ山は残る。やがて私も余白は少ない。孫たちにヤマの生活やヤマの作業や人情を書き残しておこうと思い立った」と語っている。山本は、子どものころから絵画を描くことが好きで、また、七十年ものあいだ几帳面な日記を綴っていた。自らの経験や伝聞を基に、明治中期から昭和初期にいたる炭坑の様子を墨や水彩で描いていった。余白に説明を書き加える手法で作品を描き続け、「ヤマの絵師」として知られていた。
炭坑の歴史を伝える作品を観てみよう!
 「世界記憶遺産」に登録された山本作兵衛の作品は、田川市が所有・保管する絵画五百八十五点、日記六点、雑記帳や原稿など三十六点と、山本家が所有し福岡県立大(田川市)が保管する絵画四点、日記五十九点、原稿など七点で、計六百九十七点。「うそを一寸でも描くことが嫌い」だった山本が後年、こう言った。「私の絵には一つだけうそがあります。坑内は真っ暗でこんなにはっきり(色は)見えやしません」。あえて彩色にこだわったのは、真実を伝えたいという思いの強さだった。炭坑のイメージをストレートに伝え、炭坑労働やヤマ社会の全容を描いた真実の記録が世界の人々を魅了する。(敬称略)

撰炭場での作業(撰炭婦)

灯りの変遷と手掘り採炭道具

舟頭と陸蒸気

記録を残したいの一心 描かずにはいられなかった

 「寡黙で几帳面な父・作兵衛でした。だれに頼まれるでもなく、黙々と描き続けていました。はじめは文章で伝えようとしたのですが、伝えたいヤマの真実があまりに赤裸々で、さしさわりがあると家の者が猛反対した。そこで原稿用紙を焼き捨てて、絵に思いを託したのです」と長男の山本照雄さん。
 「平成24年3月20日から26日までの7日間、田川市美術館で『原画展(主催:われら坑夫の孫会/仮)』を開催予定です。祖父の原画をたくさんの方々に観ていただきたい」と孫の緒方惠美さん。

  • 田川市石炭・歴史博物館

    山本作兵衛作品を観るならココ!

     炭坑節に歌われた二本の大煙突や竪坑櫓(やぐら)が残る「田川市石炭記念公園」のなかにある田川市石炭・歴史博物館では、山本作兵衛作品の墨絵305点と彩色画278点が、「ヤマの仕事」や「ヤマの暮らし」などのテーマごとに分類されている。二階展示室では山本作兵衛炭坑記録画の展示コーナーを常設している。

    住所/
    田川市大字伊田2734番地1 石炭記念公園内
    電話/
    0947-44-5745
    開館/
    9時30分~17時30分(入館は17時まで)
    休館/
    月曜、祝日及び休日の翌日(翌日が日曜日又は休館日にあたるときはその翌々日) 12月29日~1月3日
    料金/
    大人210円、高校生100円、小中学生50円
    アクセス/
    田川伊田駅から徒歩約11分
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  • 旧伊藤伝右衛門邸

    名勝の庭園とともに

     筑豊の炭坑王・伊藤伝右衛門の旧宅が飯塚市の幸袋にあり一般公開されている。この旧宅は敷地約2300坪、建坪約300坪ある。妻の歌人・白蓮が暮らした屋敷でもある。山本作兵衛の炭坑絵画数点が展示されている。

    住所/
    飯塚市幸袋300
    電話/
    0948-22-9700
    開館/
    9時30分~17時(入館は16時30分まで)
    休館/
    火・水曜(祝日の場合は営業) 12月29日~1月3日休
    料金/
    大人300円、小・中学生100円
    アクセス/
    JR福北ゆたか線新飯塚駅からJRバス直方行きで11分、幸袋本町下車すぐ
    詳細

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